今から「老後破産」を防ぐ家計のコツ。生活費は年金からまかない、介護費は“予算化”がベスト《FPが解説》

「老後の生活費」へのイメージが漠然としていると、貯めるべき金額がわからず不安が募りがち。そこで老後の家計を予想しつつお金を蓄える方法を、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが伝授します。

【画像】世帯の年金手取り額が月20万円の1か月支出目安

生活費は極力「年金」で賄えるように調整

世帯の年金手取り額が月20万円(※1)の1か月支出目安

  • 食費 42000円

    住居関連費(※2) 10000円

    水道・光熱費 25000円

    通信費 15000円

    保険料 10000円

    日用品費 8000円

    被服費 5000円

    レジャー費 20000円

    交際費 10000円

    医療費 15000円

    こづかい 35000円

    その他 5000円

※1 受給金額から社会保険料を除いた金額

※2 持ち家の固定資産税を12か月で割った金額を想定

老後は、月の生活費をできるだけ年金で賄うのが鉄則。

「退職が近づいたら、年金額に合わせて生活費を少しずつ調整して。赤字が少ないほど、老後資金も少なくてすみます」(FP・畠中さん、以下同)

●50代以降は年金受給額の目安をもとに備えて

今のまま仕事を続けた場合は、50歳以降に届く「ねんきん定期便」に、65歳以降にもらえる年金額が記載されます。

「その額を目安に生活費の見直しを」

●40代以前なら最低限の必要生活費を算出

まだ年金額が予想しづらいため、今の家計から老後の生活費を予想して。

「住宅ローンが残りそうなら、繰り上げ返済するなど負担を減らして」

過剰に節約するより老後も働く方が現実的

収入が少ない年金生活で、出費を削るのは至難のワザ。

「赤字分をキツすぎる節約で備えるよりも、シルバー人材センターなどを活用して、老後も稼ぐことを考えましょう」

特別支出も赤字になりがち!医療費、介護費は予算化して

年金生活はボーナスがないため、特別支出は貯蓄から出すことに。

「高額になりがちな白内障やインプラントなどの費用と、平均的な介護費用は予算化して確保しておくと安心です」

●医療費

医療費の予算

  • 白内障手術代:60~70万円(※)

    インプラント代:35~50万円(1本)

    補聴器代:20~30万円

※ 多焦点(2焦点)レンズの再建術の場合

●介護費用

介護費の平均額

  • 一時的な費用:74万円(※1)
  • +月々の費用:8万3000円×介護期間の平均:5年1か月

    =合計:約580万円 (※2)

※1  住宅改造や介護用ベッドの購入費など

※2 生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」より

●ただし、地方移住・自宅売却など柔軟に考えれば対応可

在宅や地元施設にこだわりすぎると資金に悩まされることも。

「家を売却して施設費用にしたり、手もちの資金で入れる郊外の施設を選ぶなど、柔軟に考えた方がラクに対応できます」

2025-01-09T11:13:07Z